私の看取り体験談 Last Shirahama Trip and Sushi
Stories of each family
~ 家族が語る 最期の物語り ~
プライドが高くて面倒見のいい江戸っ子入居者さん

プライドが高くて面倒見のいい江戸っ子入居者さん

Last Shirahama Trip and Sushi
看取った方
看取り体験者 (女性)
ごんごん さん (女性)
34歳 介護福祉士 青森県
看取られた方
認知症グループホーム入居者
Dementia group home resident
享年 98歳
主な疾患 老衰
闘病期間 0年 6ヶ月
最期を迎えた場所 施設

どんな看取りだったかお聞かせ頂けないでしょうか

玲子さん(仮名)は東京で生まれ結婚、空襲で夫の実家に疎開されました。洋服屋を営んでいたということもあり、身だしなみはいつもとても綺麗でお上品。たくさんの高級なコートやセーター、ジュエリーを身につけていて、認知症を患ってグループホーム(GH)へ入居してからも美意識はとても高かったです。


江戸っ子気質で気前がよく、他の入居者の面倒を見てくれたり、職員のお手伝いもたくさんしてくださり助かっていました。認知症ゆえに危険な場面やトラブルにつながることもありましたが、職員が仲介してみんなの人気者&頼れる姉御的存在でした。


タバコを吸う習慣がありましたが病気のため禁止されていて、紙やティッシュをタバコのように細長く丸めて「火、ちょうだいよ」と言うことがあり可愛かったです。


とてもきれい好きで掃除やゴミ出しを手伝ってくださいましたが、認知症の進行に伴い掃除用具の認識、時間の認識がなくなっており、真夜中にご自身の肌着を濡らして雑巾代わりにして廊下をびしょ濡れにするという珍事もありました。


おしゃべりもとても好きで、いろんな人とたくさん話をして、たくさんおでかけをして毎日を楽しくとても自由に過ごされていました。


やる気があるのはいいことなのですが、夜も活動的でお昼寝もせずに興奮状態が続いたため主治医に相談して軽い安定剤を飲むことに。しかし、薬が合わず寝たきりになってしまいました。発語もできない、今までできていたことが何もできなくなり廃人のようになってしまいました。


こんなの玲子さんじゃない!!と薬をすぐに中止し、車椅子からのリハビリを経て少しずつ体力が回復し車椅子を自走、ゆっくり自力で食事ができるようになりました。うまく言葉にはできないけどおしゃべりはしたいようでたくさん話してくれるようになり、マンツーマンでたくさんお話を聞きました。


時間はかかりましたが、服薬前の興奮はなくなりました。また、服薬直後の廃人状態でもなくなり、穏やかに過ごせるようになりました。そんな中、高齢と認知症の進行、日常生活動作(ADL)の低下に伴い特別養護老人ホーム(特養)への引っ越しが決まってしまいました。


GHと特養は併設されているため、入居者を連れて毎日遊びに行きました。以前のような活気はなくなりましたが、久しぶりに口紅を塗ってあげたりマニキュアを塗ってあげると、鏡を見て笑顔が見られました。


特養へ行ってからは環境の変化もあり、GHより刺激が減ってみるみる体力が失われていき寝たきりになってしまいました。それでも声をかけたり手を握ると反応を返してくれました。


ご飯が自分で食べられなくなり、最期は老衰で亡くなってしまいました。最期まで職員、入居者の人気者でご家族もたくさん面会に来てくださり、自分らしく生きられたのではないかと感じました。入社したばかりの私の初めての担当で、多くのことを学ばせてくれた、人生の大先輩です。

ご本人はどんな方でしたか What kind of person was he

病気はどんな経過を辿りましたか How did the disease progress

やってよかったこと What are you glad you did?

もっとこうすればよかった Things I'm glad I did

もっとこうだったらいいのに I wish it was more like this

この先 家族を看取る方へ伝えたい事 What I would like to convey to those who will be caring for their families

旅立ったご本人へのメッセージ A message to the person who has departed